社長の考え事の最近のブログ記事

今年に入ってから受注状況が著しく悪化している。前期の同時期の売り上げと比較すると1/4ぐらいになっている。過去15年間何度か不況と呼ばれる時期があったが、幸い弊社の受注状況にはあまり影響がなかった。しかし、今回の不況は違う。お得意様も相当大変そうだ。一時帰休を実施しているところも多い。

弊社もいよいよ社員を一時帰休せざるを得なくなった。4月は、社員に長期間一時帰休してもらうことにした。国からの中小企業緊急雇用安定助成金は本当にありがたい。この制度のおかげで、今年の夏ぐらいまでは、なんとかリストラをしなくて済むであろう。せっかくここまで築きあげてきた社内のチーム体制での翻訳環境が白紙に戻ってしまうのはなんとしても避けたい。

この状況に関しての社員の理解も大変ありがたい。弊社の給与体系は、成果報酬の割合が多いため、このように仕事がない状況になると、社員の給与は伸びない。経験を積んできた社員がもっと条件のよい職に転職してしまってもおかしくない状況であるが、会社の受注状況が回復しないかどうかをできるだけ様子を見てくれそうである。また、心を打たれたのは、「社長としては、私が早く去った方がよいですか。」ととてもオープンに聞いてくれたところだ。これは、私が会社をどうしたいのかということを問いかけているということになる。

苦しい状況から開放されたいという気持ちがないと言ったらうそになる。リストラを実施し、昔のようにフリーランス形態に戻れば、様々な心配事から開放されるからだ。自分の家族だけの生活を成り立てていくぐらいの売り上げならば、なんとか確保できるであろう。

ただし、安易な道を選ぶのは間違いだ。弊社で展開しているチームによる翻訳環境は、個人個人の翻訳能力やライティング能力を効率よく向上させることができる。お客様に最高の品質の翻訳を提供するためにも不可欠である。英語を母国語とする社員から学んでいることは計りきれないし、チームで仕事をすることは、人と人とのコミュニケーションを養い、人格をも磨いてくれる。このすばらしい仕事環境を放棄することは、自分の成長にブレーキをかけてしまうことになる。

どうにかこの難局を切り抜けたい。

2008年を一言で括るとしたら、事業拡大路線の続きであったということになると思う。
社員を増やし、受注する仕事も増やそうと努力した1年であった。

結果的には、何回か新たなお客様と取引をさせていただく機会をいただいたが、
継続的に仕事を発注していただけるような関係を築けなかった。その理由は、いくつか
考えられるが、一番大きいのは、自らの事業拡大ばかりに目が行っていて、
お客様の声を聞くことができなかったからではないか。
「弊社には卓越した英語を母国語とする翻訳者がおります。品質管理担当は、米国滞在暦15年の元エンジニアです。」
このような宣伝文句を一方的に発信するばかりで、お客様が何を求めているのかを
じっくり聞く姿勢がなかったのだと思う。このような姿勢・態度は、お客様は
敏感に感じ取っているに違いない。

また、思うようにお客様を増やせなかった理由は、過去の成功が現在の成功に
つながらないということに起因していると思う。
実際には、過去の成功は現在の失敗につながる。
私が独立して翻訳者の道を歩みだした時は、インターネット時代の幕開けであった。
当時は、無名な個人でもインターネット経由で大企業のウエブマスターに問い合わせ、
ご担当の方に取り次いでもらえる時代であった。
今振り返ってみると、本当に運がよい時代に独立したものだと思う。そのような
方法でお客様と関係を築けたからこそ独立したという順序だったかもしれないが。

今は、この方法は通用しない。インターネット経由で問い合わせても返事さえ
いただけない。ということは、別の方法でお客様と接点を作る必要が
あるのである。それは、お客様との直接なコミュニケーション
(face-to-face communication) であろう。

2009年は、現在取引をさせていただいているお客様の声をよく聞いて
お役に立つことに専念したいと思う。

今後、会社をどの方向に展開していくのかまとめておきたいと思う。

現実的に考えると、この先の数年間は現在の路線の延長であろう。現在の路線とは、和文英訳の事業の拡大である。目標としては、現在のメンバーが独立していく前に和文英訳のメンバーを5人ぐらいまでに増やし、和文英訳事業部の部長という職務を設けたい。部長の主な仕事は、品質管理であり、他の翻訳メンバーの訳文をチェックし評価することである。この職務を経験することは、ベテラン翻訳者が、自分の実力を別の角度から確認するよい機会であると思う。また、自分の知識を他のメンバーに伝授することにより、自分の知識を整理するよい機会でもあると思う。

別の方向はどうか。いくつか展開が考えられる。お客様からご要望があるのは、次の2つである。
  • 多言語翻訳
  • テクニカルライティング(和文)

今の自分の忙しさを考えるとこれをすぐに実現するのは難しい。しかし、これもどうしたら実現できるか考えたいと思う。すべて自分で対応方法を考えるのは時間がかかりすぎるため、他の言語の翻訳を専門としている人と提携する、または現在テクニカルライティングを専門としている人と提携するということが鍵になりそうである。

弊社は、9月決算のため、現在仮決算の準備を進めている。
お客様からの多くのご用命と社内メンバーそして社外スタッフの素晴らしい働きぶりのおかげで黒字になる予定である。
私も今期は例年にないほど長時間仕事をしてきた。冬休みと夏休みを返上した。また、経営者として今までにない仕事をしているため、正直に申し上げると、来期は自分の報酬も少し上げさせていただきたいと思うところだが、今はその時期ではない。
弊社の事務所は、現在のメンバー構成ですでにいっぱいになっており、来期に新しいメンバーを迎え入れるためには、もう少し広い事務所に移転する必要がある。事務所の移転はかなりまとまったお金が必要になる。安く見積もっても300万円の初期費用はかかる上、その後のラニングコスト(家賃)も現在の倍になるであろう。

ここで、気をつけなければならないのは、自分が一体何を目指して会社を発展させているかをはっきりさせておくことである。これを見失うと、会社は発展したのに自分は不幸になったという最悪な結果になりかねない。
現時点で、自分が何を目指しているのかをはっきりさせておこうと思う。

  • 特定の翻訳者に頼りすぎない安定した翻訳会社の確立。お客様へ安定したサービスを提供する。
  • ベテラン翻訳者が初心翻訳者に翻訳とテクニカルライティングのノウハウを伝授していく環境の整備。各翻訳者が書く文章のばらつきを抑え、一貫した訳文をお客様へ提供する。
  • 将来的には、自分は日常的な実務から離れ、ベテラン翻訳者から初心翻訳者まですべての社員がおもしろいと思う(やりがいのあると思う)職場作りをしたい。「おもしろい」とは、毎日が新しい発見であり、自分が成長していることが実感できることであり、成長に応じて報酬が伸びることである。
  • 最終的には、社長がいなくても機能するビジネスの確立。これはどの経営者でも目指すべき目標であろう。確立できた暁には、少しペースを落とし、じっくり時間をかけた翻訳やコンサルティングの仕事をしたい。

経験という力は計り知れない。初めて正社員を迎えると決めたときには、やりがいのある職場を作るために、どのような勤務体系にするか、どのような成功報酬制度にするか、どのように研修を進めていくかなど、あらゆることを決めていった。(その際には、多くの方々に相談に乗っていただきました。ありがとうございました。)しかし、果たして自分が決めたことが正かったかどうかは実際に経験して確かめるしかなかった。当初決めたことの中にはうまく機能しないものもあったので、Japanese-to-English Prestidigitatorさんとオープンに話をして、調整を重ねた。(Japanese-to-English Prestidigitatorさん、いつもオープンに相談に乗ってくれてありがとうございます。) 1年経った今、少人数の会社としては、それなりにおもしろい制度を持った会社になったのではないかと思っている。この経験をしたおかげで、次の正社員を迎えることが最初よりもかなり楽になった。

私のメンターとしている著者の本の中には、次のような文面がある。
十段階評価で「レベル2」程度の力量しかない人間が、「レベル5」の問題に直面すれば、大問題と感じるだろう。しかし、努力を重ね、「レベル8」の力をつけたなら、あら不思議、同じ「レベル5」の問題がとるに足りない小さい問題に見えてくる。
何事も経験である。まずは一歩を踏み出して、調整していくことである。これからやろうとしていることをすべて見通すことはできない。とにかく行動して経験することである。

昔は、新しい事を始めようとするとき、「そんなことはできない」と思ってしまうことがよくあった。「できない」と思ったときに、すべての可能性が閉ざされるということを知ってからは、「今はできないかもしれないが、どうしたらできるか考えてみよう」と思うようになった。そして、このように考えるようになってからは、一見無理のようなことも意外と簡単に解決されていくことが分かった。以前のブログでも書いたが、問題意識とそれを解決したいという強い意思を持つと人間の脳は素晴らしい能力を発揮する。
前回、見積業務をパートタイムの方に分担することが難しいことが判明した。
そこで、パートタイムの方に分担するのではなく、各プロジェクトの翻訳担当者にお願いすることを検討したい。

現在、次の一連の業務を私が担当している。
1.    先客から見積もり依頼を受ける。
2.    社内翻訳者のスケジュールを確認し、適任者を決める。
3.    適任者と相談し、納期を決める。
4.    見積書を作成し、先客に提出する。
5.    先客からプロジェクトの正式依頼を受け、原稿データを受信する。
6.    原稿データを編集者に転送する。
7.    翻訳と編集が完了したら、納品する。
8.    請求書を作成し、先客に提出する。

今後、4~8の業務を各プロジェクトの翻訳担当者に移管していきたい。
翻訳担当者にとっては仕事が増えることになるが、将来独立されていく方々にとっては、見積もりから請求までの工程を経験することは、将来役に立つであろう。

見積書と請求書の作成であるが、弊社の会計ソフトに直接入力していただかないと結局再入力の仕事が発生することになる。幸い弊社が利用している会計ソフトは、入力専用パスワードというものが設定できるので、これを設定し、利用していきたい。

前回、パートタイムの方にお願いしたい業務内容とおおよその工数を洗い出した。
これらの業務の中はかなり細かいことを考慮する必要があるものがあり、慣れるまでは結構時間がかかるであろう。最初から細かい仕事の内容をすべて伝えることができればいいのだが、実践でないと理解できないことが多い。仕事を引き継ぐために必要な時間を考えると躊躇してしまうのだが、これからもっと複雑になっていくことを考えると早い方がよい。
工数をざっと見ると、一日平均2時間業務を手伝っていただくことから始めればよさそうに思う。では、どの時間帯がよいか。お客様からの見積もり依頼に対する対応が日常的に発生する業務であるが、お客様からいつ依頼があるかは予測できない。お客様からの見積もり依頼にはなるべく速く応じたいところだ。
ここで、もうひとつ問題が見えてきた。お見積もりには納期を記載するが、納期は社内メンバーのスケジュールを把握していないと判断することができない。実際には把握だけでは不十分で、どの翻訳者がいつ担当すれば最短で納品できるか、またその翻訳者と相談してスケジュールを決めなければならない。つまり、翻訳業界でよく知られている「コーディネーター」という職務に就いている方でないと難しい。このコーディネーターという職務は現在私が担当している。パートタイムの方にコーディネーターの業務も担当していただくことが理想的ではあるが、コーディネーターはフルタイムでないと勤まらない仕事である。(と決め付けているだけかもしれないので、再考する必要あり。)

見積もり、スケジュール、経理システムが密接に関係していることが、日常業務を分担することを難しくしている。難しいが方法はあるはずだ。

社員が増え、仕事が増えると、日常業務も増えてくる。
現状では、ほとんどの日常業務を私が担当しているが、これは個人事業では通用しても会社としてはいずれ通用しなくなる。そこで、私が日々担当している日常業務を洗い出し、まずはパートタイムの方に業務を手伝っていただくことを検討していきたい。以下に日常務業務のうち、パートタイムの方にお願いしたい業務と社長が継続していく業務をまとめる。

  • パートタイムの方にお願いしたい業務
見積もり作業(販売管理ソフトへの記入、お見積もりのPDF出力)経理(記帳)
会計士さんによる帳簿の確認の対応(帳簿の修正・更新)
請求作業(販売管理ソフトへの記入・発行・送付。お客様指定の請求書がある場合はそれに記入。)
給与計算(社会保険、雇用保険、源泉徴収)
賞与計算(社会保険、雇用保険、源泉徴収)
社会保険への賞与支払届けの手続き
昇給・減給があった場合の社会保険手続き
飲み物やお菓子の調達

  • 社長が継続していく業務
お客様からのお仕事の問合せの対応(いずれはマネージャが担当)
お見積もりPDFの送付 (いずれはマネージャが担当)
事務所の掃除


パートタイムの方にお願いしたい業務を発生頻度で分類しそれぞれの大まかな工数をまとめる。

  • 日常的に発生する業務
見積もり作業(販売管理ソフトへの記入、お見積もりのPDF出力)[1h/day]
経理(記帳)[0.5h/day]

  • 月に何回か発生する業務
請求作業(販売管理ソフトへの記入・発行・送付。お客様指定の請求書がある場合はそれに記入。)[5h/month]
飲み物やお菓子の調達 [1h/month]

  • 月に1回発生する業務
給与計算(社会保険、雇用保険、源泉徴収)[1h/month]

  • 年に何回か発生する業務
会計士さんによる帳簿の確認の対応(帳簿の修正・更新) [6h/year]
賞与計算(社会保険、雇用保険、源泉徴収)[2h/year]
社会保険への賞与支払届けの手続き[2h/year]

  • 年に1回発生する業務
昇給・減給があった場合の社会保険手続き[1h/year]
決算(会計士さんが必要な書類をまとめる)[1h/year]

次回は、この情報を元に、パートタイムの方の勤務スケジュール(いつ、どれくらい)をまとめたい。

今年はアメリカ人とカナダ人の数名の方が、弊社の新入社員向けの職務 (entry-level position)に応募してくれました。
その中でも弊社を第一志望と考えていただいているとみられ、とても積極的でありながら謙虚な姿勢も持ち合わせている青年が目立ちました。この人との面接が最初だったので、面接の後、「申し訳ないですが、後何人かのインタビューが残っておりますので、2週間お待ちください。」と伝えました。実際には、この時にすでに私の考えはほぼ固まっていたのですが、既にインタビューを約束していた他の人たちにも平等にお話してから決めるべきだと考えたので、お待ちしていただくことにしました。彼にとってはとても長い2週間であったのではないかと思います。
私は、会社のメンバー全員がお互いに建設的な批判をし合いながら成長できるような職場を作っていきたいと考えています。そのような職場を作るには、メンバー一人一人が積極的でありながら謙虚であることが必要だと思っています。今回入社していただいた人はそういう意味でぴったりだと思いました。きっと素晴らしい相乗効果が現れるでしょう。
また、積極的な姿勢は、お客様の信頼を得るためにも大事な要素だと思っています。私の好きな言葉に「プラスアルファの努力」というのがあります。お客様が期待すること以上のことをする。これこそが、お客様との信頼関係を築く鍵だと思っています。お客様が喜ぶところを想像して、プラスアルファの努力をする。今回入社していただいた人は、こんなことが自然にできる人であるように思いました。
今後の会社および個々のメンバーの成長が楽しみです。